『松巌寺』
はじめに
戸隠の街中へ入っていくとそれほど経たないうちに左手側に「松巌寺」が見えてきます。 松巌寺は、討ち取られた紅葉を供養する為に建てられたお寺だそうです。 紅葉の墓や、紅葉家臣たちの墓や、地蔵などがあり、 紅葉伝説と深い関わりがある事を感じさせてくれます。
松巌寺(外)
松巌寺の入り口にはとても立派な石塔が設置されています。 今回は目的で無かったので詳細に見ませんでしたが、木曽義仲公にとっても縁深い場所でもあるようです。 この石塔を横に見つつお寺の門を潜ると、すぐ目の前に本堂が見えてきます。
最初に見た時は予想以上に荘厳な本殿に驚いた…… 夕方頃に訪れたため辺りはシーンと静まりかえっていて、 とても綺麗なその光景にしばらく見惚れてました。
境内に何かないかとうろついてみると、正門左手側に「鬼女紅葉家臣の墓」を発見。 長い年月を感じさせるように苔生してはいましたが、とても綺麗な形で残っていて吃驚。 ちなみにこの写真の左下に写っていのが家臣達の墓で、中央の地蔵様はまた別の地蔵様でした。 写真を取った時には気付かなくて、家に帰ってから気付きました(苦笑
家臣達の墓は見つけたものの、肝心の紅葉の墓が見つかりません。 何処だろうとキョロキョロしてると、小さな社のようなものが視界の端にチラッと。 さらによくよく見てみると「鬼女紅葉之墓」という文字が見えるじゃあないですか! 岩に囲まれており、中々しっかりとした作りとなっています。 横の立札には松厳寺が紅葉に贈った「釜岩紅葉大禅定尼」という戒名も記されていました。 とりあえず手を合わせてから寺の中へと向かいます。
松厳寺(中)
松厳寺の本殿に入ろうとすると、本殿前に松厳寺の縁起が記されたプレートがかかっているのに気付きました。 読んでみると中々に面白く、様々な情報を得ることが出来ました。 その中でも特に「平維茂は、戸隠山の洞窟にこもる紅葉軍と戦い、苦難の末、謀略をもってようやく紅葉を打倒した。」という部分に興味を惹かれました。 紅葉狩りや紅葉伝説では大抵が「紅葉の謀略・妖術により平維茂は苦戦し…」と書かれていますが、ここには「平維茂が謀略を用いて」と書かれています。 もしかすると事実は伝説とは異なり、紅葉は正々堂々と戦い、平維茂は謀略等を用いて辛うじて勝利した…のかもしれない。。 そんなことをつらつらと考えていると時間が押しに押してきたので慌てて本堂の中へ。 ※本堂の中に入って写真を撮ってきましたが、住職さんの許可を得て撮影しています。
本殿の中には、天井に描かれた四百八十八枚の花鳥の絵や、ご本尊、そして各種紅葉伝説に関する絵があありました。 特に天井近くに飾られている紅葉伝説絵巻は鬼無里に伝わる紅葉伝説を分かり易く説明してくれているので、訪れた際は是非見てみて欲しいです。
おわりに
「鬼無里に伝わるもう一つの紅葉伝説」 紅葉や家臣達の墓もあることから、この寺や鬼無里が紅葉を大切にしていたことが伝わってきます。 この松厳寺では紅葉伝説をより間近に感じることが出来て非常に満足できました。 また、最後になっりましたが住職さんに大きな感謝を。 初めての来訪で色々とテンパッてる私の質問に丁寧に答えていただき、 さらに本堂内の撮影許可を与えて下さった住職さんにはホント頭が上がりません。